2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

富土卵の言葉遊びと不思議な猫の絵

京の洒落本作家で俳人の富土卵(とみ・とらん)が「狼狽(うろたへ)散人」の筆名で書いた「花實都夜話(かじつみやこやわ)」(寛政5年=1793)で、不思議な挿絵を見つけた。 おそらく本人が描いたのだろう。やかんや庖丁、鍋、釜、擂粉木などの絵は、…

猫の名の起源はフクロウだと言った国学者

ねこの名が付いた鳥にはウミネコ(似た鳴き声からだろう)があるが、「ねことり」と呼ばれるものがあるのを、江戸時代の随筆で知った。 おそらく「ねこどり」と発音したのだろう、フクロウのことだという。 「西国にて、梟をねことりといへるは、かれか頭の…

梅宮社祢宜が書き残した「まづあるじゃげな」

橋本経亮をおっちょこちょいと書いたが、私の方がおっちょこちょいだった。 法隆寺の出開帳は、そうたびたび京都では行われていないのだった。伽藍修復の資金集めのために、江戸時代を通して京都は江戸とともに2度行われたにすぎない。 元禄7年(1694…

ダン王の黒猫と法隆寺御開帳

猫で有名になり、今では猫目当ての参拝客で賑わう洛西の梅宮大社であるが、江戸時代この神社には国学者の橋本経亮(1755-1805)という神官がいた。 経亮は、随筆集「橘窓自語」を著し、その中で京都三条大橋の近くにあった「ダン王」こと檀王法林寺…