2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

春草の「黒き猫」と泣菫の一言

重要文化財「黒き猫」の作者、菱田春草(1874-1911)は明治時代、日本画の改革を進める岡倉天心、横山大観らとともに、日本画壇から猛反発を受けながら、新しい日本画の道を切り開いた人物として知られる。 36歳で亡くなったため、大観の陰に隠れているが、…

武芸の極意を伝授した猫

猫にも「名人伝」があるとすると、この猫が第一候補なのだろうか。 こんな話を最近知った。知られた話らしい。 江戸時代、勝軒という剣術者の家に、大きな鼠が出て昼間から暴れた。鼠を部屋に閉じ込め、手飼いの猫を入れて退治することにした。鼠は予想外に…

正月の翁に齢を聞くな

門松や冥途の旅の一里塚 めでたくもありめでたくもなし という正月に、老人に齢を聞く人がいる。困ったものだ。 80歳を超える長生きをした江戸時代の俳諧師横井也有(1702-1783)も新年に齢を聞かれたらしい。 俳文集「鶉衣」に、いきさつを書い…

百亀の小噺に出てくる銀の猫

偶然聞いた落語で興味を持った小松屋百亀(1720-1794)について、さらに調べて見た。 「擬宝珠」の原形の小噺が収録された「聞上手」の直後、続編の「聞童子」(安永4=1775)が刊行されていたことを知り、こちらも目を通した。 落語「一目上…

落語「擬宝珠」と秘薬「文武丸」

正月、NHKで上野の鈴本演芸場から中継があり、柳家喬太郎が「擬宝珠」の演目を早口で演じていた。あまりにおかしな話なので聴き入ってしまった。 どうおかしいかというと、息子が元気がないので、心配した親が幼馴染に頼んで、理由を聞きだしてもらった。…