2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

二代目團十郎の猫

猫好き講談師、猫遊軒伯知(1856-1932)について触れたが、猫の講談では、桃川如燕(ももかわ・じょえん、1832-1898)という先輩の大物講談師がいた。 鍋島藩の化猫など猫をテーマにした「百猫伝」の講談が評判を呼び、明治天皇の御前で口…

猫の目時計の歌があった

猫の目時計について、金井紫雲(1887-1954)が、興味深い古歌を紹介していた(「動物と芸術」昭和7年、芸艸堂)。 六つ円く、五七卵に四つ八つは柿のたねなり、九つは針 というものだ。 六つ=午前6時 猫の目は 円 五つ=午前8時 猫の目は 卵 七…

猫恐怖症の猫怖ぢ大夫

私の姉は、子どもの頃、激しい鳥恐怖症だった。鳥の翼が怖いらしく、小鳥でさえ見ると逃げるのだった。私にはその怖さが理解できなかった。ある休日の朝、親戚の男性が、撃ちとった雉を持って現れた。私は思いついて、それを手にすると、まだ寝て居た姉のと…

猫遊軒と嵐雪・烈女の猫

講談師に猫遊軒伯知(びょうゆうけん・はくち。1856-1932)という人物がいるのを知った。結構知られているらしい。「猫遊軒」などと名乗るのは、猫好きだからだろうと思うがはっきりしない。確かめようと、「小幡小平次」の講談が残っている(大正…

正午牡丹と眠り猫

洋画家の中川一政画伯が、「正午牡丹」という文章を書き、著作の表題にもしているのを知った。 前に、牡丹と猫の取り合わせの画題に触れ、本来は正午に咲きほこる牡丹を表すために、時計代わりに猫の目を添えたのが始まりではないか、という鶴ケ谷真一氏の文…

名無しの猫を追いかけて

二葉亭四迷が溺愛した名無しの猫は、その後手掛かりがないので、一旦探索は終わりにすることにした。 二葉亭が猫を愛する一方で、俳句も盛んにつくっていた発見もあった。猫と俳句、夏目漱石とこの点でも似ていた。 ベンガル湾航海中に客死してから5年後、…