2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

落ちた堀から怒鳴る上人について

辺りを観察し上から見下ろす猫の眼、足元で上目遣いに甘える猫の眼。 見下ろす眼、見上げる眼の表情は全く違う。かわいい猫をしたたかな動物と思う瞬間だ。 上から目線 下から目線 以前から気になっている「徒然草百六段」の話も、目線で解釈すると別のおか…

超高層ビルと墓石 補

火野葦平の「高層ビルが墓石に見える」の発言が気になったのは、若いころ同じような話を、俳優の三国連太郎氏から聞いたことがあるからだ。 屋外でのことだったか。70年代の後半、西新宿の高層ビル群が新しいスポットとして注目を浴びていた頃だ。今では、…

墓とニューヨークについて

「鼠」の版画を見て、版画家関野準一郎に関心を持ったと、前に書いた。その後、店仕舞いした本郷の古書店で、画伯の画文集「街道行旅」(昭和58年、美術出版社)を見つけた。勘定すると、おかみさんは「関野さん」と懐かしそうにつぶやいた。中川一政にも…

ワルナスビから長之助草

毒の実がなるナス科の外来種に、きっぱりと「ワルナスビ」と命名した日本の植物学の父、牧野富太郎は、偉人だが癖の強い人物として伝えられる。 神田神保町のA書房の「100円本」で見つけた雑誌「本草」8号(昭和8年、春陽堂)に、牧野の文章が2本掲載…

デルタ株とワルナスビ

デルタ株の感染が身近に押し寄せている。 濃厚接触者ではなかったが、念のため私たちもPCR検査にクリニックへ行ってきた。即日判定で「陰性」だった。 少しホッとして休日の夕べ、散歩に出かけた。川べりに、また違う花が咲いていた。やや紫がかった白い…

南瓜と日まわりの花

南瓜のことを調べていたとき、レシピで「かぼちゃもち」を見つけ、自分で作ってみた。レンジで温めた南瓜をつぶし、片栗粉を混ぜて練り、分けて焼くだけだ。食べると予想以上に満腹感があった。 そんな折、三好達治の詩集「朝菜集」で、南瓜の花が出てくる「…

「土」とカボチャの雌花

盆の休みを家で過ごす。夕方、近くの川沿いを歩くと、オシロイバナが道端に咲いていた。黒い実もなっている。私は都内で育ったが、オシロイバナが咲くころ、子供たちはこの実を集めて数を競った。さらに、実を爪で割って中の白い粉を集め、鼻に白い線を塗っ…

蛙の装幀

五輪女子ボクシングで金メダルを獲った日本の大学生が、「カエル」が好きだというので興味を覚えた。 長塚節「土」を調べていて、昭和16年に改版された春陽堂の単行本の表紙が「蛙」の絵に変わったのに気づいたところだった。装幀、絵は平福百穂とも縁のあ…

オダマキと枇杷

日本画の平福百穂が描いた、長塚節「土」(明治45年、春陽堂)の扉絵の、紫の花を、細に見せた。開口一番「オダマキ!」。意外な答えが返ってきた。 WEBでチェックすると、オダマキに見えないこともない。 日本に生息するオダマキは、ミヤマオダマキ、…