2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「晩夏」が届いた

昭和16年の「晩夏」が届いた。 ドキドキしながら、奥付を開く。 あった、堀辰雄夫妻が半日かけて捺した「一琴一硯之楽」の印。 縦6㌢横5㌢の大きな検印紙に、縦長2㌢×1.3㌢ほどの印が捺されている。 「一つ一つ丁寧に『琴』だとか『硯』だとかいふ文…

堀辰雄が妻と捺した一琴一硯の印

甲鳥書林の著者検印について、新たに分かったことがある。 昭和16年、甲鳥書林から「晩夏」を上梓した堀辰雄が、検印についての文章を書いていたのだ。 「我思古人(旧題・一琴一硯の品)」という随筆で、青空文庫で読んだ。 「『晩夏』が校了になり、ほっ…

甲鳥書林の検印ー中山義秀のケース

昼時、神保町のA書房による。寄るといっても、あまり縁のない専門書の古本店なので、外に置いてある100円のゾッキ本を覗くためである。小林剛「日本彫刻史研究」、平田俊春「平安時代の研究」などの大冊もここで見つけ手に入れた。 他にも長谷川如是閑の…

甲鳥書林と猫印のアイデア

前に森田草平著「夏目漱石」(昭和17年)で見つけた猫をデザインした著者検印を面白いと紹介した。草平自身のアイデアだと思ったが、或は、出版元の甲鳥書林のサジェッションがあったかもしれないと思うようになった。 猫のようにデザインした草平印 この…

玉鷲関の美しいワシ浴衣

昨年細と泊まった秩父の温泉宿は、元力士が経営していて、浴衣も実際の現役力士のオリジナル浴衣を選ぶことができた。 私は、ちょっと色が派手だったが、鷲の模様にひかれて、すぐに決めた。 モンゴル・ウランバートル出身の玉鷲関のものだった。 ワシは、紐…

古墳時代の砥石

砥石を軽視するなかれ。 砥石は、千葉県市原市の稲荷台1号墳(北)から出土している。 古墳中期の円墳で、「王賜」銘鉄剣が発掘された重要な古墳だ。 入江文敏氏「佩砥考」 砥石は長方形で、上部に孔があることから、帯から吊り下げられる「佩砥」と解釈され…

赤瑪瑙の火打石

玉造と倭建命との関係を伺わせる記載は特にないが、「火打石」をキーワードにすると、浮かび上がってくるものがある。 「常陸国風土記」の久慈郡の条を見てみる。 久慈と名付けたのは倭建命だと書かれている。 ≪古老がいうことには『郡役所から南の近いとこ…

玉造センターと倭建命

佐賀市の知人から、定年後の仕事が決まったと、挨拶の電話があった。結構なことなので喜ぶと、小城市の会社に通うのだという。「小城羊羹の小城ですか」と答えると、「しっとっとですか」と驚く。砂糖が固くこびりついた小城羊羹は、なんども食べた。 ほんと…

騎馬軍団前史の倭建命

若いころ、カメラマン2人と東南アジアへ仕事で出かけた。 やがて一人は水中カメラマンの大御所になったが、もう一人は軍事評論家になった。軍事評論家になった彼は当時、カメラマンとして「軍事民論」という民間の軍事研究会を立ち上げたO氏の手伝いをして…

日葉酢媛から息長帯姫へ

いきなり、石枕のことを考え出しても所詮はシロウト。これから網羅してチェックするほど、残りの人生は長くない。 今までの記憶と手に入る史料で考えるしかない。 神功皇后が、先に亡くなった仲哀天皇のために、棺の石材を手配する話が、「播磨国風土記」に…

石枕に踏み込んでみると

石枕文化のルーツを探るには、石枕が最も早く出現した地域を調べることだろう。それが特定できれば、石枕の文化が、そこに海外から初めて伝わったか、あるいはそこで出現したかということになる。 編年を作る作業は、最古の石枕を発見するために重要な手がか…

ネズミが齧った石枕

ネズミのおかげで、大きな解明につながる、こんなこともあるのか、Y書房で手に入れた「千葉史学」の87年5月号の白石太一郎氏の論文で知って興味がわいた。(「大鷲神社古墳発見の石枕とその提起する問題」)。 白石氏が取り上げているのは、「常総型石枕…

法隆寺元禄再建論について

NHKの「ブラタモリ」で法隆寺を訪ねる回(4月9日放送)があった。 約1300年前に再建された同寺の金堂を紹介しながら、300年前の江戸時代の装飾を紹介していた。金堂の2階の軒を支えるために江戸時代に柱が加えられ、柱には龍が巻き付いている。倶…